研究・技術開発

Japan Qualityの「見える」を実現するために。

グループ各社の力を結集してコンタクトレンズの新たな価値を創造し、
国内一貫生産体制で世界のお客さまに高品質な商品をお届けしています。

組織体制

研究開発機能と生産設備を集約し
一貫生産を実現

シードの商品が生まれる鴻巣研究所。基礎研究から生産、出荷までを一貫して行う研究開発・生産拠点です。研究開発部門と生産部門が互いに連携することで、最先端の研究成果をいち早く商品化しています。
鴻巣研究所の約52,000㎡という広大な敷地の中には、研究開発を行う研究棟と、定期交換レンズや海外向け、犬・猫用等、様々な品種の商品を生産する1号棟と、1日使い捨てレンズ等の超大量生産に対応する2、3号棟があります。建物ごとに用途を分けることで、効率的な生産体制を実現し、日本一のコンタクトレンズ生産量を誇っています。2020年11月には、国内外への出荷増に対応するため、新たに製品・資材倉庫棟が稼働しました。
※当社調べ

鴻巣研究所

研究開発

シードには、様々な専門知識を持つ数多くの研究者が在籍しており、これまで、主力ブランド「Pureシリーズ」を支える両性イオン素材、乱視や遠近両用などの光学デザインといった独自技術を利用した商品を開発してきました。基礎研究を行いながら、商品開発、薬事申請、量産化に向けた生産部門や委託先との連携、さらに医師向けの学術渉外まで、一貫して担っています。
また、グループ会社との協働による技術開発を進めています。Contact Lens Precision Laboratories Ltd.(英国)はオリジナリティの高い光学設計技術に強みがあり、Wöhlk Contactlinsen GmbH(ドイツ)は素材開発から量産化までの技術を、Sensimed SA(スイス)はスマートコンタクトレンズの技術を有しています。これら各社の知見を活かし、連携を深めています。

生産技術

シードにとって、主力商品である1日使い捨てレンズを安定的に供給することは、何よりも重要です。また近年では、お客さまニーズの多様化や海外展開によって、少量生産の品種が増加しています。こうしたなかでメーカーとしての供給責任を果たすためには、生産の効率化と物流機能の向上を図っていく必要があります。
そこでシードは、製造設備の通信ネットワーク化、倉庫内物流の改善、設備補強等を行っています。なかでも物流機能の向上に力を入れており、2020年11月に新しい製品・資材倉庫棟を建設。コンタクトレンズの入った搬送箱を自動的に格納する機能を備えた製品・資材倉庫や、荷積み・荷降ろしを24時間自動で行うパレタイジングロボットを導入し、省人化や物流効率化を実現しています。

FOCUS:医療機器をつくる責任

コンタクトレンズは、ペースメーカーや人工呼吸器と同様に、人体に重大な影響を与える「高度管理医療機器」であり、極めて高い品質が求められます。生産過程では品質を厳格に守るため、自動検査システムを複数箇所で導入しています。また、高い水準で全品検査を行い、クリアした製品のみを出荷しています。
このような品質管理をシードが実現できるのは、基礎研究から製品化までを一貫して実施することで得られた技術ノウハウをもとに、量産における原料調達から金型製造、調合、箱詰めまでを一貫して自社で行っているからです。さらに、製造現場では、若手社員を中心に、品質改善に向けたQC活動(Quality Controlサークル活動)にも積極的に取り組んでいます。

研究戦略

高度な知見を活かして
新たな「見える」を創出

世界では今、スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスの普及に伴う眼精疲労の増加や、近視の低年齢化が社会問題となっています。国産コンタクトレンズの黎明期からコンタクトレンズに関する幅広い研究してきたシードは、近視用、乱視用、遠近両用、医療用といった多種多様な商品を開発してきた実績と経験を活かし、時代に求められる商品を生み出すために挑戦し続けています。
これまで、近視を矯正するオルソケラトロジーやいわゆる医療用スマートコンタクトレンズと呼ばれるトリガーフィッシュセンサー、デジタルデバイスによる瞳のストレス軽減を目指したレンズを開発してきました。今後も国内ばかりでなく、欧州のグループ会社との連携を強め、知見を組み合わせながら、新たな「見える」を創り出していきます。

技術開発テーマ テクニカルレンズ・医療用デバイス・医薬品との融合(DDSコンタクトレンズ)・近視進行抑制

国内事例:日本初、医療発の遠近両用コンタクトレンズ

従来型の遠近両用コンタクトレンズは、焦点の数を増やす技術でつくられています。一方、「1dayPure EDOF」は“焦点(ピント)が合っている”と認識できる範囲を拡げる技術「EDOF(拡張焦点深度)」を活用しています。開発にあたっては、パソコン上で様々な「見る」シーンをシミュレーションしました。その結果、見え方の質を良くするには、ピントの範囲の広がりを持たせるためにnm(ナノメートル:1,000,000分の1mm)レベルで滑らかに変化する遠近形状だと判明しました。しかし、パソコンでは簡単に表現できても、実際のコンタクトレンズをこの形状にすることは難しく、試行錯誤を繰り返しました。安定的な量産を実現するまでには、実に3年以上かかりました。それだけに自信をもってお届けしています。ぜひお試しください。

技術部
A・N さん

SEED 1dayPure EDOF

海外事例:グループのシナジーを活かしたシリコーンハイドロゲルレンズ

2021年2月、欧州で「SEED 1day Silfa」の販売を開始しました。「SEED 1day Silfa」には、グループ会社であるWöhlk社で商品化されているレンズと同じ素材を採用していますが、鴻巣研究所での開発、生産は、生産環境が異なるため、一筋縄ではいきません。加えて、物理的な距離や文化・慣習の違いがあるドイツとの協業もチャレンジングな経験でした。そうした中で、Wöhlk社と協働して開発を進め、1dayPureで培った鴻巣研究所での量産技術を活かし、生産、発売をすることができました。
Silfaは含水率が高く、Pureのようなハイドロゲルレンズに近い柔らかさのため、硬いシリコーンレンズが苦手な方にも試していただきたいです。

設計開発部
T・M さん

SEED 1day Silfa

人材教育

海外のグループ会社との開発に携わり、
最先端の開発に挑戦しています

シードでは、若手の頃から、海外のグループ会社や外部機関との共同開発の前面に立ち、経験を積む風土があります。 
私も、ここ数年で海外企業との仕事が増え、広い視野で仕事を進める必要があると感じていたところ、UltraVision社(英国)への出向のチャンスが巡ってきました。業務実績も語学力も十分ではなく、とても不安でしたが、今と異なる環境で自分に足りない物は何であるかを知りたくて、出向を決めました。入社6年目の時です。 
出向を経験して、最も成長できたと感じるのは、「行動すること」です。考え過ぎて行動に移せないのが私の短所でしたが、自ら行動せざるを得ない環境であった海外出向は、私に大きな影響を与えてくれました。 
在英中は咄嗟の会話に対応できずタイムラグができてしまい、業務の妨げとなってしまうなど、英会話が課題でした。そんな言葉の壁を乗り越え、UltraVision社独自に開発している自動設計技術を当社の設計・加工工程に応用するソフトウェア開発に2年間携わりました。今まで1~2日掛けていた作業が数分で完了し、業務時間の大幅な削減に貢献する3種類のソフトウェア導入に携われたことは、私の大きな自信になりました。

技術部
M・O さん

技術部 レンズ設計・成形技術室 主任 大石 未来